研究についてのお知らせ
当講座では、死因究明や死亡に至る機序を明らかにするために法医解剖などの実務を行っています。
解剖時には、全身の各臓器をくまなく観察し、さらに損傷が疑われる部位なども詳細に調べます。また、各臓器を用いた組織学的検査や体液を用いた分析なども行っています。このようにして得られた情報は、故人様の最期の状況を明らかにすることに役立てています。
さて、これらの検査によって得られた情報は、今後の医学の発展や社会安全を推進する上で貴重な資料となります。また、検査のために使用した残余試料を用いて行われる研究においてもさらに有用な情報が得られることになります。そこで、故人様の個人情報が完全に保護された状況下で、医学研究を実施させていただいております。研究のために不必要な検査を行うことや、ご遺体に過剰な侵襲を加えることはありません。私たちは、剖検後にご遺族のみなさまとお会いする際に、検査によって得られた情報や残余試料を用いた研究の実施に関してご説明し、ご同意を頂いております。お目にかかれなかったご遺族のみなさまもおられるかと思いますので、改めてご理解をいただきたく、お願いいたします。
当講座では以下の研究を実施しています。繰り返しますが、これらの研究においては、当該事例から個人が特定できることはなく、医学的所見以外の個人情報は使用されません。また、研究成果は学術集会や医学系専門誌で公表しております。
なお、故人様の医学的情報や残余試料が研究に使用されることにご同意いただけない場合には、下記までご連絡ください。
実施しております研究は、以下のとおりです。
- 法医解剖で得られたデータに基づく疫学的研究ならびに残余試料を用いた医学研究の実施について
- 滋賀県内の交通事故予防対策推進調査結果の学術利用について
- 法医学剖検例における前立腺潜在癌発生頻度及び経年変化の調査
- 外傷例における損傷部位の重症度と損傷発生メカニズムの解析
- オートプシーイメージングの有用性についての検証
- 突然死症例における遺伝子解析
- 顔センシング技術による個人識別の法医学的応用
- 法医解剖で得られた心臓組織の遺伝子および発現解析
- 卵円孔形態の解剖学的特徴についての検討
- 法医剖検例における脳脊髄病変の病理組織学的検索
- 急性経過で死亡した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者の病理学的/ウイルス学的解析
- 心臓突然死における形態学的診断法の確立
- 固形腫瘍における遺伝子異常の網羅的解析
- 精巣の組織的学特徴に基づく年齢推定法の確立
- 子宮および卵巣形状に基づく年齢推定法の確立
- 研究名:法医学剖検例における前立腺潜在癌発生頻度及び経年変化の調査(R2014-099)
これら研究の実施においては、滋賀医科大学倫理審査委員会の許諾を受けておりますことを申し添えます。
連絡先 滋賀医科大学 社会医学講座 法医学部門
077-548-2111(代表)
責任者 一杉 正仁